最近、農薬散布をドローンでしたい!
というお声かけをいただきます・・・
農薬散布を実施される作物や農薬名をお聞きすると6割近くの生産者の方がドローン散布ができない状況です。
導入を断念される多くの理由は、農薬取締法によって作物別に農薬が規制されているからです。
現在、すべての農薬を高濃度少量散布できる状況ではございません。
希釈倍数や散布量は、農薬のラベルに使用方法が記載されていますのでご確認お願いします。
例えば・・・
使用方法…散布(動噴) ・ 希釈1000倍 ・ 散布量200ℓ/10a
とラベルに記載されている農薬の場合は、
”水200ℓ”と”農薬0.2ℓ”を希釈した農薬を
10aに200ℓを全て散布する
ことになります。
(200ℓ以下の散布量に変更したり濃度を濃くする事は農薬取締法違反になります)
ドローンで散布する場合は、10ℓ搭載機の場合は20回フライトすることになります。
作業時間は、10分×20回としても200分(3時間20分)ですので、
動噴散布と比較するとメリットがないという試算になります。
1000倍希釈指定の農薬をドローンで散布するために8倍希釈に変更したり
1000倍希釈液を指定散布量より少なく散布すると”農薬取締法違反”になり
罰金刑が科せられます。
では、8倍希釈の農薬(空中散布登録農薬)を200ℓ散布するとどのくらいの面積分になるのでしょうか?
高濃度少量散布農薬の無人ヘリ用の標準的散布量は、8ℓ/haが多いので、
25ha分の散布量(200ℓ÷8ℓ/ha)になります。
10aの散布量(1000倍希釈・200ℓ)で、25ha散布するには50,000ℓの散布量になります。
多くのマルチローター散布機は高濃度少量散布を前提として開発されているので、
1000倍液を50,000ℓも散布するような耐久性を考慮した装置にはなっていないと思われます。
規制緩和で、高濃度少量散布できる農薬も増えている状況ですので、
詳しい内容については、お近くのJAや農薬メーカーにご確認をお願いします。
食品衛生法によるドリフト問題等も多く報告されています。
農薬が目的以外の作物に付着しないよう細心の注意が必要です。
また、機体・人に対する保険加入や定期点検などの維持費が毎年必要です。
ドローン散布機は、使用時間により交換部品が決められているものがあるので
効率よく使用しなければ維持管理費も高額になります。
機体バッテリー(7万円/個)も使用開始から180日以降は保証されていない消耗品ですので、
防除を外部に委託されるか自主防除されるかについては、しっかりご検討いただければと思います。
1)散布高度
作物上 2m
2)散布速度(機種によって違います)
15km/h~20㎞/h
3)散布幅
4m
4)散布時の風速
地上1.5mの高さで3m/s以下の風速の時に実施
5)散布水平距離
150m程度(目視範囲)